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37 シロダモとセンブリ
村上市(旧神林村)の要害山は家内の実家近くにあり、子供が小さい頃に何度も一緒に登った山である。「山頂でラーメンを作ってやる」と言うだけで、二人の子供は喜んで付いて来た。
2022年8月の豪雨で、要害山の登山道は数箇所被害を受け、登山禁止になった。それから2年経った2024年11月上旬、そろそろ登山道が修繕されたのではないかと登山口まで行ったところ、運よく登山禁止は解かれていた。
山頂のベンチでコーヒーを飲み、主三角点の方を振り向くと樹高数メートルの常緑広葉樹が目に入った。赤い果実を付けたシロダモだった。
『新潟県植物分布図集』では、シロダモは確か荒川以南だけに分布が示されていたように思う。山形県にも分布しているのだから、荒川以北のどこかにも分布しているはずだと思っていたが、こんなに手ごろな山の山頂にシロダモが生育していることに今まで気づかなかった。
家に戻ってからネットで要害山を検索したところ、登山口に近い場所にセンブリが咲いていることを初めて知った。ふだんから樹木ばかり見ながら山を歩いているので、足元のセンブリにはまったく気づかなかったのだろう。そこで、二日後にまた要害山に登った。センブリは、登山道脇の比較的明るい場所に生えていた。
登山者の多くはかわいらしい草花に興味があり、山頂のシロダモには気づかないと思う。シロダモは雌雄異株なので、山頂で果実を付けている個体はメスである。11月は果実だけでなく花も咲いていて、花と果実の両方を同じ個体で観察できる。秋には登山道脇のセンブリと合わせて、山頂のシロダモにも目を向けてもらいたい。
