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25 新潟県北でブナの「あがりこ」を発見

 蒲萄(ぶどう)山地の最高峰、新保岳(852.1m)に最初に登ったのは、1988年5月のことである。当時、新保岳のガイドブックは『越後の山旅』(富士波出版社)しかなく、マクリ川右岸に車を止めた。その後、林道新保岳線が延び、登山口が2回変わっている。

 現在の登山口は、以前の登山道のほぼ中間になり、山頂まで約1時間で登ることができるようになった。そのため、遠方から来る登山者は新保岳の他にも、いくつかの山に登ることもあるようだ。

 2014年11月下旬、新保岳に登り、12時過ぎに登山口に下りた。その日の目的は新保岳ではなく、タラの山(399.7m)だった。車で林道の途中まで下り、林道脇の広い場所に車を止めた。

 林道法面の脇を登れば、あとはタラの山まで数百メートル藪をこぐだけだ。樹木はすっかり落葉していて、枯れたミズナラにナメコが出ている。すると、藪の中でブナの「あがりこ」を発見した。

「あがりこ」とは、「雪上伐採したため、地上2〜3mの高さでコブができて太くなり、多数の幹が出ている」樹形をした樹木のことである。初めてブナのあがりこを見たのは学生時代のことで、津南町のブナ二次林だった。『科学朝日』(朝日新聞社)に写真家の太田威さんがブナのあがりこの写真を載せていたので、「あがりこがある!」と叫んだのを覚えている。

 そして、三角点が埋設されているタラの山に辿り着くと、またブナのあがりこを発見したのだった。