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31 マタギに導かれる二ノ俣峠
四月下旬に山熊田集落の「ブナ林トレッキング」に参加した。「8時までに来てください」と言われていたが、8時を過ぎてからも続々と車が到着する。リピーターは、開会式が8時半ということを知っているのだ。
開会式が終わり、車に分乗して道路終点まで行く。荒廃している道路を少し歩き、いよいよ二ノ俣峠への道を進む。総勢40人を超える参加者が、九十九折を登る光景は圧巻だ。
急な尾根を登り終えると、緩やかな斜面になり、ここから道が不鮮明になる。参加者は、先導のマタギに付いて一列になって進む。徐々に残雪が現れ始めるが、例年よりも少ないらしい。
「山熊田太郎」と呼ばれている太いブナは枯死していた。胸高直径を測ると、約150pだった。ここ数年で、このサイズを超えるブナが相次いで枯死している。
雪の消えた斜面を進み、傾斜が緩やかになるとそこから先は残雪が途切れることはなかった。わずかに地形が窪んでいる場所には、ブナに変わってイタヤカエデやトチノキが生えている。
二ノ俣峠では、先に着いたマタギが山菜汁を作っていた。二ノ俣峠から少し先から、月山がかすかに見えるが、参加者は「鳥海山が見えない」と残念そうに口々につぶやく。
マタギが作った山菜汁をいただき、二ノ俣峠を後にする。山熊田太郎から往路とは別にルートを辿って、登ってきた九十九折の終点に着く。
かなり前から旧山北町山熊田集落で「ブナ林トレッキング」が開催されていることを知っていた。しかし、二ノ俣峠まで道があるのなら一人でも行けるだろうと思って参加してこなかったが、とんでもない勘違いだった。
