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26 「あがりこ姫」誕生
タラの山でブナのあがりこを発見し、蒲萄(ぶどう)山地には他にもあがりこがあるのではないかと考え、さらにブナのあがりこを探すことにした。既に数回に分けて蒲萄山地を縦断していた。しかし、その縦断ではあがりこを見なかったので、探すのは主稜線から派生する尾根だ。
タラの山に登った翌年の2015年3月下旬、大須戸除雪ステーションに車を止め、米ケ沢右岸尾根から米ケ山を目指すことにした。放射冷却で固くなった積雪の上をツボ足で進み、尾根が狭くなると雪が無くなったが、尾根にはうっすらと踏み跡が確認できた。
米ケ山から北上し、765m峰で昼食になった。それから、蒲萄トンネルを目指し、北東尾根を下った。そして、大きなあがりこを発見したのである。
あがりこは、ふつう荒々しい樹形をしている。しかし、このあがりこは2mの高さからほぼ同じ太さの20本近い真っ直ぐな幹を真上に伸ばしていて美しい。多数の幹を支える元株は、細いところでも直径1m以上ある。
秋田県の中島台レクリエーションの森に、「あがりこ大王」と呼ばれるブナがあることを知っていたので、この美しいあがりこを「あがりこ女王」と名付けた。
ところが、2017年12月7日の朝日新聞「天声人語」で、「あがりこ女王」の存在を知った。考えてみれば、私が発見したあがりこは、まわりに家来のあがりこがたくさんあるわけでもなく、10個体に満たないくらいだ。
それだったら、女王よりも「白雪姫と七人の小人」にちなんで、「あがりこ姫」を名付けるのが良いのではないかと考えることにした。
