『山の本』の予告から

 高校時代に生物部に入り部活動で山に登るようになった著者は、しだいに心のなかで山の存在が大きくなっていく。山好きが高じて大学で林学を学び、卒業して森林・林業に携わりながら、独りで、あるいは友と一緒に趣味の登山をつづける。
 やがて道のある山よりも、地図を読みながら藪をこいで山頂に立つことに愉しさを見い出してゆく。しかし、死線をさまよう体験を二度もすることに・・・。父も山で遭難し、その捜索活動中、父の遺体を自らが森の遠くで発見する。
新潟の山と、少し平凡でなかった登山を通した半生記。

初出   自然と対峙する         湯蔵山      『山の本』23号
      初春の日本海を望む      能化山     『山の本』26号
      天然スギの藪こぎ        笠倉山     『山の本』28号
      下田山塊の孤峰        毛無山     『山の本』31号
      海谷山塊の鋭峰        烏帽子岳    『山の本』32号
      杁差岳の展望台        黒手ノ峰    『山の本』35号

関連   白馬岳にて           白馬岳     『山の本』38号

その他登場する山            飯豊、朝日、蔵王、八海山、吾妻、八ケ岳、
                        五剣谷岳、大兜山、矢筈岳、粟ケ岳、毛猛山など

『森の遠くで』以降
  2002年
      朝日連峰のマイナー名山    化穴山         『山の本』41号(2002年9月)
      森の遠くで(一)  自費出版                 『林業にいがた』2002年9月号
      森の遠くで(二)  高地肺水腫               『林業にいがた』2002年10月号
      森の遠くで(三)  父の遭難                『林業にいがた』2002年11月号
      森の遠くで(四)  山に向かう               『林業にいがた』2002年12月号
  2003年
      BSNラジオ「餅は餅屋に伺いましょう」に生出演    『ニセアカシアについて』
  2004年
      県境から見える気になる山へ  高安山         『山の本』47号(2004年3月)
  2005年
      広い雪原に大きな窪みが走る 堀切峰         『山の本』51号(2005年3月)
      故郷の春を懐かしむ−マルバマンサク          『森の花を楽しむ101のヒント』(日本森林技術協会)
      スギ害虫の離島定着の陰に−ガマズミ          『森の花を楽しむ101のヒント』(日本森林技術協会)
      ブナ林を構成する主要樹種−リョウブ           『森の花を楽しむ101のヒント』(日本森林技術協会)
  2006年
      残雪のやせ尾根を辿る      三俎山・ガラク峰   『山の本』55号(2006年3月)
      足駄山(日本の秘峰)                    『山の本』57号(2006年9月)
      ふるさとのブナの森                      達人の山旅2『森と水の恵み』(みすず書房)
      桝形山に眠る池                       『岳人』2006年3月号(モデルで登場、文:亀山東剛)
      朝日まほろば温泉                      『渓流』2006年春号
  2007年
      ブナもやし                           『岳人』2007年4月号「山の雑学ノート」
      頭髪と体型                          『松涛』No.23(2007年3月)
      木質ペレット                          『岳人』2007年8月号「山の雑学ノート」
      ムラヤママイマイ                       『岳人』2007年11月号「山の雑学ノート」
  2008年
      木の燃焼                            『岳人』2008年4月号「山の雑学ノート」
      松くい虫抵抗性マツ                      『岳人』2008年7月号「山の雑学ノート」
      ナラ枯れ                             『岳人』2008年10月号「山の雑学ノート」
      馬ノ髪山〜俎倉山〜岩岳                  『岳人』2008年10月号
  2011年
      木質ペレットの活用を                    『村上新聞』2011年9月25日 
      もうこの家に入ることができない               『新潟日報夕刊』2011年12月10日
  2012年
      親子のタスキリレー                     村上第一中学校『東日本大震災復興祈念日本列島リレー横断』
             桃川「要害の峰」のブナ                   『山の本』79号(2012年3月)
      折立キャンプ場でクマと遭遇                『岳人』2012年10月号「かわら版」
  2013年
      高桑信一著『山小屋からの贈りもの』内容紹介     『山の本』84号(2013年6月)
   2014年
      「環境保全のための広葉樹造林」(共著)         豪雪地帯林業技術開発協議会編『広葉樹の森づくり』(日本林業調査会) kouyouju.pdf
      「塩蔵ウドの炒めもの」                    『山菜・野草の食いしん坊図鑑』(農文協)
   2015年
      息子が登らせてくれた常念岳                『山の本』92号(2015年6月)
      米倉久邦著『日本の森列伝』書評              『山の本』93号(2015年9月)
   2016年
      表紙写真に「あがりこ女王」が採用             『日本森林学会誌』2016年
      ブナのあがりこを探しに                    『山の本』95号(2016年3月)
   2018年
      越後の山と森を歩く@「東ゴビ砂漠から日本の森を想う」    『山の本』103号(2018年3月)
             越後の山と森を歩くA「標高とともに変わる森林」         『山の本』104号(2018年6月)
      越後の山と森を歩くB「常緑広葉樹の分布の秘密」       『山の本』105号(2018年9月)
             教えて!ふむふむ先生             『新潟日報』週間こども新聞ふむふむ(2018年11月)
             越後の山と森を歩くC「越後に最も多い樹木はブナ」       『山の本』106号(2018年12月)
   2019年
      越後の山と森を歩くD「年間10万人が訪れるブナ林」      『山の本』107号(2019年3月)
      越後の山と森を歩くE「雪上伐採されたブナの奇木」       『山の本』108号(2019年6月)
            越後の山と森を歩くF「多様な越後の亜高山帯」         『山の本』109号(2019年9月)
            越後の山と森を歩くG「天然スギの森を歩く」            『山の本』110号(2019年12月)
  2021年
      もう立ち入れない湿原 野々海池「西の窓」を巡る記憶    『山の本』118号(2021年12月)
 2023年
      集落守る火伏せの山    『山の本』123号(2023年3月)





著者紹介と本の内容
  1961年生まれ。雪が2m以上積もる(30冬期の平均では273cm)ブナ林に囲まれた新潟県東頸城郡松代町に育つ。高校時代に生物部の部活動の一環として巻機山や白馬岳に登る。高校3年の夏に四手井綱英さん(京大名誉教授・一度だけ遠くから見かけたことがある)の『山と森の人々』(中公新書)を読み、四手井さんと同じように「山好きが高じて林学を選ぶ」。大学を終えた後2年間は実家から通える職場に勤めていたが、3年目から新潟県北部の職場に異動する。
 40歳になった今、自分のこれまでの登山を振り返ってみれば、楽しいことばかりではなかった。白馬岳からヘリコプターで大町総合病院に下ろされ、さらに松本市の信大付属病院まで救急車で転送され、ICUを含む半月の入院。真っ暗なへつり道で、「良くて骨折、悪くて死亡」と同行者に言われた滑落。そして父の遭難・・・。
 さらに妊娠六カ月の家内が新潟市での買い物中に倒れ、救急車で病院に運ばれる・・・出張中に生後4日目の長男が救急車で新潟市の病院に運ばれる・・・。そのときどきにこれまでの山でのことが思い起こされる。『森の遠くで』は登山を通した私の半生記です。

著者の趣味
 登山の他、テレマークスキー、渓流釣り、アマチュア無線、カミキリムシ採集、カタツムリ探しなど。『森の遠くで』には少しずつですが、他の趣味に関わる文章が登場します。

注意
 文章は下手ですし、特別すごい山に登っているわけでもありません。ただ学生時代や就職後でも、ある山岳団体に入っていれば、冬山、岩登り、沢登り、山スキー等急速に技術を獲得して行くものですが、それを敬遠したひとりの人間が思考錯誤しながら自分なりの山歩きを探していく過程、それと家族との関わりを読んだ人なりに何か感じていただければと思います。それには、拾い読みせず、はじめから通して読んでください。

感想をいただいております(2005年3月12日更新)

書評(赤沢東洋、羽田寿志、猪俣恵美子、富樫悦夫、岳人8月号)

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