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28 珍しい航行目標保安林

 山名に「烏帽子」が含まれる山が新潟県には10山以上ある。「烏帽子」とは、和装で男性がかぶる帽子のことで、「烏帽子」が付いている山は良い形をしていることが多い。

 山頂付近が航行目標保安林に指定されている村上市の烏帽子岳(488.7m)には、1997年に2回登っている。最初は3月上旬で越沢集落から積雪を利用した。山仲間5人で登り、山頂で1mの積雪を掘って二等三角点を探し当てた。その1カ月後には単独で北赤谷集落から北赤谷峠まで歩き、峠から藪漕ぎで烏帽子岳を往復した。

 久しぶりに烏帽子岳に登ることにしたのは、新潟県内の航行目標保安林の位置を関係者に確認したところ、「烏帽子岳に登るのなら、航行目標保安林の現況写真を撮ってきてください」と依頼されたからだった。そこで4月下旬、27年前と同じ北赤谷峠に向かった。

 航行目標保安林は、「主として漁船の航行目標として有用な森林」とされる。烏帽子岳が航行目標保安林であるのは、その形の良さからであろう。新潟県内の航行目標保安林は、村上市の烏帽子岳を含めて合計3箇所指定されている。

 北赤谷集落を歩いていると、自動車の運転手から「烏帽子岳に登るんですか」と声をかけられた。その北赤谷集落の男性と話していると、お互い十日町市出身で、しかも同じ農林水産業のОBだった。北赤谷峠への道は昔、有料道路で峠には茶屋があり、サーカスの象も歩いて越えてきたがあると教えていただいた。

 その男性との偶然の出会いに驚いたが、烏帽子岳山頂ではさらに驚くことが待っていた。


*写真は1mの積雪を掘って探し当てた二等三角点