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13 秘密の花園

 1999年4月下旬、『山北町全図』で「金峰山」の文字を発見した。金峰山は地形図にない山だったが、山頂に神社の印があったので、塔下集落から山頂の神社まで歩いてみた。そして、下りでシラネアオイの花を見つけた。それまで漠然とシラネアオイは標高500m以上の山に生えているものだと思っていた。そこで、『新潟県植物分布図集』を調べると、標高100m以下の海岸に近い場所にも分布していると知り驚いた。

 その広葉樹林を知ったのは偶然だった。当時新潟市内の職場に勤めていた私は、村上市の仕事関係者を手伝うことになった。そして、村上市内の海岸に近い広葉樹林の林床で、たくさんのシラネアオイの葉を見つけたのだった。海岸から直線距離は500mくらいだが、標高は約50mだった。

 翌年、山野草を育てている家の庭にあるシラネアオイの様子を見ながら、4月下旬にシラネアオイが生えている広葉樹林を訪れた。密生しているわけではないが、二百株以上のシラネアオイの花畑だった。それから、その広葉樹林を「秘密の花園」と呼び、毎年のようにシラネアオイの花を楽しみにしている。

 2022年4月下旬、家内と子供を連れて、秘密の花園を訪ねた。車で15分、徒歩15分で山道から離れる。前の年に訪ねた時、藪の中に踏み跡を見つけたので、その跡を辿る。2、3週間前にカタクリの花が終わり、イカリソウやヒトリシズカとともに、シラネアオイが咲いていた。最盛期を過ぎていたせいか、花は薄紫から白に変わりかけていたが、いつまでも咲き続けてほしい。