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29 謎の寝床の主は何?

 北赤谷集落の道路終点から北赤谷峠まで歩道を進む。歩道は最近でも鉄塔の管理や森林整備などで使われているらしく、荒れている場所もなく北赤谷峠に着く。ここから烏帽子岳まで藪こぎになる。

 木々は既に開葉していたが、ピンクの標識テープが数十メートルおきに付けられていた。記憶がある大きな岩を右側から巻き、尾根沿いに迷うことなく烏帽子岳山頂の三角点に達する。航行目標保安林は、山頂から100mほど先の北斜面なので、さらに進むと枯れたチマキザサが敷き詰められ、その中央が窪んでいた。何かの動物がササの葉を集めて寝床にしたようだ。その写真を撮って、航行目標保安林までさらに藪をこぐ。

 航行目標保安林の写真を撮影し、三角点まで戻って昼食にした。10mほど離れた謎の寝床の主は何だろうか。集められたササの葉は、近くのチマキザサの茎を折って寄せ集めたものではなく、ちぎって集めたものだ。中央の窪みは細長く、1m強。どう考えても、ツキノワグマしか思いつかない。

 これまで、ツキノワグマには3回遭ったことがある。しかし、3回とも仔熊だった。最初は車を運転中に道路を歩いていたクマを目撃した。2回目は10人くらいで山を歩いている時だったし、3回目は富山県のキャンプ場だった。だから、山中で一人の時に、大きなクマには遭ったことはない。

 謎の寝床の主がツキノワグマだと思い始めると、落ち着いておにぎりを食べていることができなかった。3個持って来たコンビニのおにぎりを1個残して、ザックの荷物をまとめ、急いで北赤谷峠に向かって下った。