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15 地形図から探す山

 1996年1月、村上市の能化山(380.4m)に登った。ガイドブックにある新潟県内の山をほぼ登り終え、ガイドブックにない山を地形図から探しはじめていた頃だった。

 村上市の古い地形図に、間島集落の北にある神社から旧朝日村上野集落に続いている歩道がある。その歩道を辿り、稜線から南下して能化山に登る予定だった。ところが、神社に向かって歩き始めると果樹の手入れをしていた人から登山道があると教えていただいた。

 その道を辿り、山頂で昼過ぎから16時までアマチュア無線を楽しんだ。応答してくれた人には、能化山はガイドブックにない山なので登山口を説明したり、「能化山は、『能力の能に、化ける』という字です」と話した。

 翌年5月に仲間を誘って能化山に登ることにした。すると、登山口に標識が設置されていた。私と無線した人や傍受した人が能化山に登りに来て、集落の人に問い合わせることが多くなり、「登山口に標識が必要だ」ということになったのだろう。その後、新潟日報事業社の『新潟日帰りファミリー登山』(2007)や『新潟の山歩き50選』(2018)に能化山が紹介されることになり、能化山はさらに多くの人に知られるようになった。

 現在は、書籍よりもインターネットで山を探す人が多くなった。インターネットは最新情報が得られるから、安心して登山ができるからだろう。

 地形図から探す山は、自分で判断しなければいけないことが多くなる。しかし、藪をこぐつもりが、思わぬ踏み跡を発見することもある。情報収集のため、集落の人との会話も必要になる。情報が少ないほど、山登りは楽しくなる。