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34 光兎山でパンを焼く

 登山でのレシピ本を何冊か持っている。その中の『日々野鮎美の山ごはんレシピ2』に「メスティンで焼くパンパンパン」がある。それを見てから、「山でパンを焼いてみたい」と思い、他のパン作りの本や動画を参考にパンを作ってみた。

 強力粉150グラムに、水100cc。それにイースト菌、塩、砂糖、サラダ油を混ぜてこねる。その後、一次発酵させると面白いように生地が膨らんでくる。

 通常のメスティンでパンを焼く場合、パンがメスティンにくっつかないように、クッキングシートを敷いたり、バターを塗ったりしなければならない。しかし、フッ素加工されたメスティンなら、その作業をしなくてもいい。

 ベンチタイムが済んだ生地を8等分し、中にチーズを入れたり、レーズンを混ぜたりしたものを、メスティンに並べて一晩冷蔵庫に入れておく。翌朝、冷蔵庫から取り出し、登山中に二次発酵させる予定だ。

 6月下旬、8時過ぎに光兎山を目指して歩き出した。数人の登山者とすれ違ったが、11時過ぎに着いた山頂には誰もいなかった。

 たった一人の山頂でパンを焼く。何度か家で練習したので焼き方は習得している。問題は登山中に二次発酵がどれくらい進むかだったが、ちょうど良かったようだ。もっと暑い季節になれば、冷蔵庫よりも冷凍庫に一晩置いた方が良いかもしれない。反対に寒い季節なら、登山中にインスタントカイロで暖める必要があるだろう。

 焼きたてパンとコーヒー。たった一人の山頂で、自分で焼いたパンを食べる至福のひとときだ。