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46 登り続ける決意
昨年末、高坪山へ登ろうと駐車場で準備をしていたら、女性が一人降りてきた。Tさんだった。Tさんを初めてお見かけしたのは、山熊田集落で行われている春のブナ林トレッキングだった。その時は声をかけなかったが、クマ騒動で多くの人が 登山を控えているこの時期に、たった一人で山に登っていることに驚き、思わず声をかけた。
Tさんは新聞によく投書をする人で、しばらく前から知っていた。「新聞の投書を読んでいること」「ブナ林トレッキングでお見かけしたこと」など、食べかけのカップ麺を片手に持ちながら、しばらく会話をした。
その3日後、大沢尾根を登り櫛形山山頂のベンチに座ろうとしたら、反対側の中ノ沢尾根からTさんが突然現れたのである。偶然の再会に驚き、山頂のベンチに座って白く輝く飯豊連峰を見ながら、お互いの山の話をした。
年が明け、久しぶりにTさんの投書が新聞に載った。その投書には私と山で偶然出会ったことが書かれていたのである。そして最後に「すべてのことに感謝し、生き抜く決意を新たにする」と結んでいた。
Tさんは自分よりも20歳くらい年上の、80代半ばの女性である。日々新聞コラムや百人一首などの音読を自分に課し、晴れれば里山を歩いている。頭も体も動かし続けなければ、健康は保てないとTさんの投書は教えてくれる。
昨年、10回目の飯豊本山と大日岳に登ったことや、飯豊連峰の胎内尾根や西俣尾根を含む主な 登山道で歩いていなかった疣岩山〜三国岳を踏査したことで、山に登る意欲を少し失って新年を迎えた。しかし今年は、初めて巻機山や白馬岳に登ってから、50年目になる。Tさんの投書を見て、自分も登り続ける決意を新たにした。
写真は櫛形山から望む飯豊連峰
