羽田寿志著 『知られざる山々 山形・新潟・福島の道無き山』


福島県の孫兵衛山から新潟県のジャ林山までの道無き約百座を、藪をこいで、時に残雪を踏んで登った貴重な山行記。前著『新潟の低山藪山』に続く第二弾。

<半ば乾いた魂を夢中にさせてきたものは、定石が通じない雪山や藪山だった。百名山が主流の今の登山界では、藪山歩きは所詮徒花に過ぎない。しかし、徒花には正統にはない奥の深い面白さがある。新雪にまみれ、藪に翻弄され、太陽に干され、急流に足下をすくわれ、振り返ると脳裏に浮かんでくるのは、そんなことしかない。そんな中で、何人もの仲間と出会えたことは、実りあることだった。
 遊びは、ささやかな想像力と、いくらかの危険を孕んでいなければ真剣になれない。片手で不安を握りしめ、片足で支点をまさぐり、片目は絶えず未知なるものを求めて見開き、もう片方はその対極にあるものと格闘している。魂はどっぷり山に染まり、どこか危ういところで、無心で遊んできた。>


「藪」の文字が入っているのは少ないそうです。めんどうくさいからです。